私のマインドセット

病院時代、
私は「マインドセット」という概念を
ほとんど理解できていませんでした。

ただひたすら、
目の前の患者様がどうしたら良くなるのか
その漠然とした課題に、全力で取り組んでいたと思います。


目次

20分という制限の中で

理学療法1単位20分。
限られた時間の中で、評価し、介入し、次につなげる。

それでも、

  • ご家族へ患者様の病態をきちんと伝えたい
  • この状態をどう理解してもらうか

そう思い、
業務の合間に時間を作ってもらったこともありました。

また、業務時間外に
看護師さんから食事介助の方法を教わり、
ご飯を拒否する患者様と
夕食を一緒にしたこともあります。

今は、過ぎた行動だと思っております。
後輩が同じことを望んだとしたら止めるかもしれません。

それでも当時は、
それが必要だと感じた
ただ、それだけでした。


忘れられない出来事

入院期間が長くなり、入院時にはなかった
認知症を患った、ある患者様がいました。

寝たきりに近く、
ご家族やお孫さんのことも
ほとんど覚えていない状態でした。

それでも、その方は
理学療法士である私のことだけは
忘れなかったのです。

「田中さん、トイレに行きたい」
「一緒に歩きたい」

今は歩けない状態なのに、
そんな言葉をかけてくれました。

特別な治療をしたわけではありません。
劇的な改善があったわけでもありません。

それでも、
関わり続けた時間そのもの
何かを残していたのかもしれない。
今はそう考えています。
※前述の通り、ご家族・ご本人様へ退院ができない理由。呼吸器が外せない理由を話した方でした。
※当時のリハ科長、私の想いを汲んでくださりありがとうございました。


当時の私のマインドセット

答えが出るまでドライブする

今振り返ると、
当時の私のマインドセットは
「答えが出るまでドライブする」
だったように思います。

17時30分に病院が終わり、
すぐに車に乗る。

コンビニでコーヒーを買い、発進。
行き先は決めません。

  • 今日の出来事を家に持って帰りたくない
  • もしくは、自分の中で解決したい

正直、
当時の意図を自分でもうまく説明できません。

ただ、多い時は
週に1〜2回、遠い時は片道50km。
目的のない遠出をしていました。


思考と休止の繰り返し

車の中で自問自答が終わったら、
小休止。

コンビニでタバコを1本。
深呼吸。

その後は、
車で一人カラオケ。

大きな声で好きな歌を歌い、
ストレスを発散する。

家に帰る頃にはスッキリして、
「明日からも頑張れる」
そう思えていました。

しかし、

  • ストレス
  • ドライブ
  • ストレス
  • ドライブ

このループは、
終わりませんでした。


ある日、ふと湧いた疑問

そんなある時、
ふと気づきました。

  • 何をこんなに悩んでいるのだろう
  • 何でこんなに真面目なんだろう

そこで初めて、
こんな考えが浮かびました。

1回、何もしないで明日を迎えてみようか。

正直、怖かったです。

  • 昨日より進化していない自分
  • 勉強していない自分

それでも、
心が「もう無理だ」と言っていました。


思考を休んだ、その次の日

私は偶然にも、
思考を休むという選択ができました。

そして迎えた、次の日。

何も変わらない一日。

それが、
とても衝撃的でした。

自分が悩んでも、
必死に学習しても、
一日単位では大きく何も変わらない。

そう実感したのです。


今の私につながる経験

この経験が正しかったのかは、
分かりません。

ただ、

  • 立ち止まること
  • 忘れること
  • 考えない時間を持つこと

それらが、
前に進むために必要な場合もある
そう感じるようになりました。

この考え方も、
今の私なりの仮説にすぎません。

それでも、
この経験が今の私を形作っている。
それだけは確かだと思っています。

最後に

もし今、

  • 何を考えても前に進めない
  • 頑張っているのに、手応えがない
  • 立ち止まってしまった自分を責めている

そんな状態にいるセラピストがいたら、
一度だけ、何もしない日を作ってみてもいいのかもしれません。

悩まなくても、
考えなくても、
学ばなくても、
明日は案外、何も変わらずやってきます。

そしてそれは、
後退でも失敗でもなく、
次に進むための準備期間である可能性もあります。

このブログが、
「今は立ち止まってもいい」
そう自分に許可を出すきっかけになれば幸いです。

また歩き出したくなったとき、
ここに戻ってきてもらえたら嬉しく思います。

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