3.学ぶことが苦しくなったときの話

2年目の出来事をきっかけに、
私の「学びたい」という意欲は、その後も下がることはありませんでした。


目次

学びへの投資

マニュアルセラピー研究会から
日本運動器徒手理学療法学会へ入会し、
OMTの国際コースに参加しました。

  • 基礎コース・応用コース
  • 費用は約100万円
  • 学習時間はおよそ500時間
  • 有給は、ほぼすべてOMT

悩まなかったわけではありませんが、
決断はほぼ即決でした。

私は12期生。
北海道開催だったことは、正直かなり助かりました。


学習の日々

3年目のゴールデンウィークからコースが開始。

最初は触診でした。

理学療法の触診コースであれば、
2日ほどで終わることが一般的だと思います。

しかしOMTでは、
連日、触診です。

  • 連休はOMT
  • 平日は病院勤務
  • そしてフットサル

今振り返ると、
非常に良いバランスだったとも感じます。


現場とのズレ

一方で、
私が勤務していた病院の実情はこうでした。

  • 腰部・頸部・股関節・膝関節の手術が中心
  • 外傷・脳血管疾患のリハビリテーションが主
  • 保存療法での理学療法オーダーは少ない

私が学んでいたのは、

  • 痛みを取りたいから学ぶ
  • 痺れを取りたいから学ぶ

という領域でした。

しかし職場では、
術後リハビリが中心

痛みといえば、術後の痛みです。


学んでも、変わらない現実

術後の痛みは、
理学療法士が「取る」ものではありません。

多くの場合、
時間が治してくれます。

新卒1年目、
そして学習を重ねた自分。

それでも、
急性期の経過は大きく変わらない

自然治癒力のせいでもあり、
おかげでもあります。

私は悩みました。

  • なぜ、痛みを取りたいのに手術前に介入できないのか
  • なぜ、保存療法のオーダーが出ないのか

学習したのに、実践できない。
悩みは、むしろ増えていきました。


実践できないまま学び続ける苦しさ

その状態でOMTに参加し続けると、

  • 何で知らないの?
  • 何で実践しないの?
  • 何のためにOMTに入ったの?

直接言われるわけではありません。
それでも、言葉にならない圧は確かにありました。

苦痛でした。

  • 患者様のため
  • 自分のため

そう思ってお金を払い、学びに行く。
それが、臨床で使えない。

そのまま次のOMTが開催される。
同期に揶揄される。

これほど苦しかった時期は、
今振り返ってもありません。


泣きながら帰った日々

大学から自宅へ帰る途中、
車の中で何度も涙を流しました。

正直に言えば、
今でも許せない、嫌いな人もいます。笑

それほどまでに、
追い詰められていました。

それでも、
悩んだままOMTを続け、
6年目にアドバンスコースを修了しました。


決断の瞬間

ちょうどその頃、
先輩が退職するという話を聞きました。

その先輩は、運営会議にも参加していた方です。

「このままだと、次は自分がその役割になる」

そう思った瞬間、
強い違和感が湧きました。

このままではマズい。

次の日、
私は退職届を出しました。


今、振り返って思うこと

この経験は、

  • 努力すれば報われる
  • 学べば必ず結果が出る

そんな単純な話ではありません。

むしろ、

  • 学ぶほど苦しくなる時期がある
  • 実践できない学習は、自分を削る
  • 環境と学びが噛み合わないと、人は壊れかける

そのことを、身をもって知りました。

それでも、
この期間がなければ、
今の自分はいません。

臨床能力が向上しているという実感は、
うまくいっている時より、
最も苦しかった時期に育っていた

そう感じています。

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